売却基礎知識

マンションって寿命があるの? マンション寿命のチェック方法とは

マンション寿命があるのでしょうか? 中古マンションを購入するとき、とても気になりますよね。

特に築年数の経た中古物件を購入しようとするとき、いつまで住めるのだろうかと不安に思ったことってありませんか?

いくら強固な構造のマンションでも、寿命があります。老朽化したマンションが建て替えを迫られているという話題を耳にすることもあります。しかし建築技術が格段に進歩した現在では、確実にマンションの寿命が伸びています。かつてのように30年や40年で建て替えなければならないことはなくなっています。

マンションの寿命が、どのように決まるのか。長く住み続けるためにマンションの寿命をどのようにチェックしたら良いのか。今回は、マンションの寿命について考えてみましょう。

マンションの寿命とは

耐用年数と寿命の違い

(1)マンションの耐用年数とは

耐用年数とは、減価償却資産が利用に耐える年数を意味し、税務上の減価償却費を算出するための数値のことです。

鉄筋コンクリート造のマンションであれば、従来の耐用年数は60年とされていましたが、1998年の税制改正で47年に短縮されました。なぜ短縮されたのかというと、当時取り壊された鉄筋コンクリート造の建物の平均寿命が約46年だったからだといわれています。

耐用年数は、建物の資産価値を示す単なる指標ですから、耐用年数が到来したからといって、直ちに住めなくなるわけではありません。

(2)マンションの寿命とは

マンションの寿命とは、設備や建物自体が劣化したことにより人が住めなくなる状態のことです。

寿命がきて建て替えられた古いマンションは、コンクリートに配管を埋め込んだ構造ものが多かったようです。配管設備の寿命は25年~30年。埋め込まれている場合は取り換えが難しく、配管設備の寿命が到来したことによって建物そのものを建て替えざるを得なったのです。

しかし最近のマンションの多くは、配管設備をコンクリートに埋設しない工法がとられていますので、定期的なメンテナンスと長期的な修繕計画によって、マンションの寿命が格段に伸びているといえます。

 

マンションの寿命が決まる要素

管理方法

マンションの管理体制は、マンションの寿命に大きく影響します。清掃、保守・点検、補修、長期修繕計画など、どのような管理がされているのかが、マンションの寿命を見極める上でとても重要な要素になります。

(1)日々の清掃

マンションを管理する上で基本になるのが、日々の清掃です。

毎日清掃を行うことにより、綺麗な状態を保つだけではなく、外壁や廊下の壁や天井などのヒビや亀裂、コンクリートの欠け落ち、異常な汚れなどをいち早く発見することができます。早く発見できれば、損傷の程度が軽いうちに補修ができますので、劣化防止に繋がります。

日々の清掃以外に、専門スタッフが専用の機材や洗剤を使って洗浄する定期清掃や特別清掃を実施しているマンションもあります。

(2)壊れたときの修復対応

マンション内の変電設備、ガス設備、給排水ポンプ、貯水槽、エレベーター、消火・防火設備などの保守・点検は、マンションを管理する上で重要な業務です。これらに異常が発生すると、マンション住人の生活に支障をきたすだけではなく、建物や設備の劣化に繋がるおそれがあります。

定期的に保守・点検を行い、万一故障や破損を発見したときは、早期に修復することで、建物や設備の劣化を防止できます。

(3)長期修繕計画

長期修繕計画とは、マンションの機能を維持し、老朽化を防止するために、管理組合が作成するマンションの長期的な修繕計画のことです。一般的には10年~30年の期間を対象に、鉄部・外壁塗装工事、屋上防水工事、給水管・排水管工事、電気設備・エレベーター工事などの大規模修繕を、いつ、いくらの費用で実施するのかを計画したものです。

マンションの寿命を伸ばすためにも、長期修繕計画の適切な実施は、不可欠なものといえます。

立地

(1)海の近くの塩害

海の近くに建てられたマンションは、常に潮風による塩害の被害を受け、建物の劣化するスピードが速まります。コンクリートの外壁の場合、コンクリートの内部に塩分が入り込むことで、中の鉄筋がサビたり、腐食したりするからです。

予防策としては、液体ガラス塗料を使用したガラスコーティングが効果的です。コンクリートの表面をガラスコーティングで覆うことで、塩分と水分が入り込むのを防ぎ、外壁の耐久性と防水性を高めることができます。定期的にコーティングした外壁を高圧洗浄で付着した塩分を洗い流すようにすれば、さらに効果が上がり、劣化防止に繋がります。

(2)日当たりの悪さによる苔やカビ

日当たりが悪いマンションは、湿気により苔やカビが付着しやすくなり、劣化の原因になります。

苔やカビは、胞子を飛ばして繁殖するので、通常の植物と異なり、タイルやコンクリートなどの硬いものにでも付着します。水分を好む苔やカビにとって、日当たりが悪く湿った外壁などは絶好の繁殖場所になってしまいます。

予防策としては、塩素系の漂白剤が効果的です。定期的に漂白剤の原液を薄めたものを苔やカビが繁殖しやすいところかけて、さらに高圧洗浄で洗い流すことで劣化を防止できます。

(3)台風、風雨、自然災害など

ほとんどのマンションは、鉄筋コンクリート造もしくは鉄骨・鉄筋コンクリート造の強固な構造で建てられているため、台風や風雨などの自然災害に見舞われたとしても、大きな被害を受けることは、まずありません。

しかし場合によっては、外壁の一部が壊れたり、ヒビや亀裂が入ったりすることがあります。このような状態をそのまま放置しておくと、劣化に繋がりますので、早期に補修する必要があります。損傷の程度が大きい場合は、長期修繕計画を前倒して実施した方が良いこともあります。

建材

100年~500年耐久するコンクリート

一般的にコンクリートそのものの寿命は、50年~60年といわれていますが、近年、それを100年に伸ばした劣化しにくいコンクリートが開発されています。

通常のコンクリートと違いは、水とセメントの分量です。100年コンクリートは、通常のコンクリートに比べて水の量を少なくしています。水分を減らすことで、コンクリートの寿命を100年に伸ばすことに成功したのです。ただし水分が少ないとヒビ割れが起こりやすくなり、それを回避するために高度な特殊技術を必要とします。そのため通常のコンクリートと比べて製造コストがかかることが難点ですが、画期的な技術革新だといえます。

最近では、さらに技術開発が進み、100年にとどまらず、500年耐久するコンクリートが開発されているようです。

構造

(1)配管設備の設置方法

古いマンションでは、給水管や排水管、ガス管などの配管設備がコンクリートの中に埋め込まれて取り換えられない構造のものが多かったようです。配管設備の寿命は、コンクリートよりも短く25年~30年。取り換えられないために、結果的にマンションそのものの建て替えを余儀なくされました。

現在では、マンションの寿命を伸ばすために配管設備をコンクリートに埋設しない「スケルトン・インフィル」という工法が主流になっています。

スケルトン・インフィルとは、建物を構造体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)に分けて設計する工法です。配管設備をコンクリートに埋め込むのではなく、パイプスペース(PS)を設け、その中に配管設備を集中配置することで、構造体を壊すことなく、配管設備の修理や更新ができるようになりました。

スケルトン・インフィル工法を採用すれば、配管設備や内装設備を適宜更新することで、マンションの寿命をコンクリートの寿命まで伸ばすことができるのです。

(2)S造<RC造<SRC造の順で強い

マンションの構造として一般的に用いられる構法は、鉄骨造(S造)、鉄筋コンクリート造(RC造)、鉄骨・鉄筋コンクリート造(SRC造)の3種類です。

S造は、建物の骨組みに鉄骨を用いるもので、木造よりも強固な構造ですが、RC造やSRC造に比べると、強度は低くなります。

RC造は、圧縮力が強いコンクリートに引っ張る力が強い鉄筋を埋め込んだ構造で、鉄筋とコンクリートの強みを組み合わせることでより強い強度を実現させる構造です。

SRC造は、柱や梁を鉄骨で組み上げ、その周りに鉄筋を配置してコンクリートを流し込む構造で、RC造よりも強い強度が実現され、高層ビルなどによく用いられています。

強度という観点からS造、RC造、SRC造を比較すると、S造<RC造<SRC造の順で強度が強くなり、マンションの寿命も伸びることになります。

長く住むために…マンション寿命のチェック方法

長期修繕計画の確認

長期修繕計画は、マンションの寿命を大きく左右しますから、まずは、適切に策定されているかを確認する必要があります。必要な修繕工事がすべて計画に含まれているかは、重要なチェックポイントです。

次に重要なのが、修繕積立金。計画された修繕工事にかかる費用をすべて賄える額が積み立てられているかです。これがマイナスであれば、将来修繕積立金が値上げされる可能性が高くなりますので、注意が必要です。

住宅診断(ホームインスペクション)

専門家の意見を聞きたいという人には、ホームインスペクター(住宅診断士)による「住宅診断(ホームインスペクション)」がお勧めです。

住宅診断とは、住宅に精通したホームインスペクターが、第三者的かつ専門的立場から住宅の劣化状況、不具合の有無、改修すべき箇所やその時期、費用の概算などを見極め、アドバイスを行う専門業務です。「建物診断」「住宅調査」「既存住宅現況検査」とも呼ばれています。

診断方法は、目視で外部(屋根・外壁・基礎・バルコニー)、内部(天井・内壁・床)、設備(住設機器・排水桝・換気設備)の劣化状況を診断するのが基本です。

因みに、国土交通省では、中古住宅売買時に行われる住宅診断について、『既存住宅インスペクション・ガイドライン』(2013年6月)を策定しています。

耐震性の確認

かつて阪神淡路大震災が発生した際、マンションが倒壊したことがありましたので、マンションといえども、耐震性を確認することが重要なチェックポイントです。

建物の耐震性については、1981年6月以降に建築確認を受けた建物は「新耐震基準」、その前までは「旧耐震基準」に区別されます。

(1)旧耐震基準

旧耐震基準では、「震度5強程度では倒壊せず、大きな損傷を受けない」と定義づけられていました。これでは、大規模地震に耐えられませんので、耐震補強工事を実施していないと、安心できません。

(2)新耐震基準

新耐震基準では、「震度5強程度の中規模地震ではほとんど損壊せず、震度6強~7の大規模地震でも倒壊・崩壊しない」と定義づけられています。この新耐震基準をクリアしていれば、たとえ大規模地震が発生したとしても、倒壊や崩壊の危険が少ないので、取り敢えず安心できます。

住宅性能評価書の確認

マンションの寿命を見極めるのに、「住宅性能評価書」を利用することができます。

住宅性能評価書は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」によって導入された「住宅性能表示制度」に基づいて発行される評価書。住宅の性能を法律に基づいた一律の基準で表示・評価するもので、10分野32項目に1点~3点の評価を与える評価方法を採用しています。

劣化対策等級

住宅性能表示制度の中で、マンションの寿命を見極められるのは、「3. 劣化の軽減に関すること」の「劣化対策等級」です。

劣化対策等級とは、建物の構造部分に用いられる部材の対策など、建物の劣化を防ぐためにどの程度の対策がとられているのかを示す等級。3つの等級が定められ、等級が高いほど耐久性が高く、例えば、等級3であれば、3世代まで暮らせる対策が整えられていることを示します。

等級
1 建築基準法に定める対策のみ(最低限)

2 50年~60年間は大規模改修不要(2世代)

3 75年~90年間は大規模改修不要(3世代)

住宅設備の一般的な耐用年数

風呂

(1)バスタブ

一般的にバスタブの寿命は、15年程度といわれいます。

長く使っているうちにバスタブと壁面との隙間を埋めているコーキング部分が劣化し、ひび割れが起こります。水漏れがなければ、コーキング部分を補修するだけで使い続けることができ、ものによっては15年以上使えます。しかし傷んでいるコーキングを放置すると水漏れの原因になり、バスタブそのものを交換せざるを得なくなります。

(2)給湯器

家族構成や使用頻度にもよりますが、一般的にガス給湯器の寿命は、10年が目安になります。

給湯器のメーカーは、標準的な仕様条件の下で安全上支障なく使用できる設計標準使用期間を定めており、家庭用給湯器は10年に設定されています。実際には、10年以上使用できるものもありますが、保守部品がなくなった時点でメーカーの修理対応ができなくなります。

(3)排水管

配管設備の寿命は、25年~30年といわれています。

配管設備の中でも最も劣化しやすいのが、台所・キッチン周りの排水管です。排水管を傷めやすい油や食べ物のくず、熱湯などを流すことが多いからです。定期的なメンテナンスとして、年1回配管を高圧洗浄するのが効果的です。

キッチン

(1)ガスコンロ

ガスコンロの寿命は、10年が目安といわれいます。しかしこれはあくまでも購入から10年以内であれば、交換部品があるので、修理ができるということにすぎません。

実際には10年以上使い続けられるものが多く、12年~15年は耐用できるようです。ただしガスを扱っている以上、10年未満であったとしても、コンロに何らかの異常が見られる場合は、早期に点検を依頼した方が良いでしょう。

(2)ディスポーザー

「ディスポーザー」とは、キッチンシンクの排水口の下に設置して、水を流しながら生ごみを粉砕して排水と一緒に流し出す機器です。粉砕室の中に投入した生ごみを遠心カによって周辺の固定刃に飛ばし、ターンテーブル上に取り付けられたスイングハンマーで押しつぶして砕く仕組みです。

多くのメーカーが公表している設計上の想定耐用年数は7年です。テレビや洗濯機などの一般家電製品とほぼ同じですが、実際の使用状況によって耐用年数が多少前後することもあるようです。

一般的にキッチン本体の耐用年数は、15年~20年といわれています。

シンクは、毎日の調理で汚れたり、傷んだりすることが多く、ステンレス製の場合、使い続けると、水垢や錆などが発生することがあります。これらは、日々の手入れで解消することができますが、通常の手入れで解消できなくなったり、20年以上使い続けている場合は、交換の目安といえるでしょう。

その他

(1)防犯カメラ

防犯カメラやそれに付属する録画装置は、長時間の稼働が求められるため、寿命は短く5年前後といわれています。

機器の寿命よりも先に、性能の良い製品が発売されたことで入れ替えることもあり、導入から5年前後で新しい機器に入れ替えるのが一般的な交換スケジュールです。万一のときに故障で録画できなったという事態を避けなければなりませんので、早めに交換することが多いようです。

(2)フローリング

フローリングの寿命は、意外に短く10年~20年といわれています。

素材の木材の劣化により寿命がきたフローリングは、張り替える必要がありますので、大がかりな工事になり、それなりの費用がかかります。

フローリングを劣化させる原因として考えられるのが、「日焼け」「傷」「水分」の3つです。これらからフローリングを保護するために表面にコーティングを施すことが、効果的な劣化防止対策です。

共有設備

(1)エレベーター

エレベーターは、一般的に設置後25年~30年を目安に取り換えられることが多いようです。

もちろんこれは、定期的なメンテナンスを前提にした耐用年数です。

かつては故障が多発し、閉じ込めなどの事故が発生して取り換えるケースが多かったようですが、最近は、地震対策や省エネ、安全性、快適性などを求めてリニューアルをするケースが増えているようです。

(2)機械式駐車場

機械式駐車場の寿命は、税務上の法定耐用年数と同じ15年といわれています。

しかしこの期間を維持するには、定期的なメンテナンスと部品交換が不可欠で、使用頻度によっては、15年以内でも取り換えを余儀なくされるケースもあるようです。

一時はブームなった機械式駐車場ですが、維持・管理に費用がかかり、取り換える場合はさらに費用負担が嵩むことが難点になっています。取り換えの時期を迎えて、駐車台数が減ることになっても、平置きの駐車場に変更するマンションもあるようです。

まとめ

マンションの寿命についてご理解いただけたのではないでしょうか。

マンションの寿命は、築年数だけでは判断できません。様々な要素が関連して、寿命を伸ばすこともあれば、短くしてしまうこともありますので、寿命が決まる要素やチェック方法をぜひ参考にしてください。

最近、中古マンションを購入して自分流にリノベーションすることが流行しています。安く中古物件を購入して、浮かした費用をリノベーションに充てる手法です。自分のライフスタイルに合わせた住まいづくりができて、費用もかけなくて済むというのが、大きな魅力のようです。

中古マンションのリノベーションで最も重要なのは、購入する中古マンションの寿命を正確に見極めることではないでしょうか。せっかくリノベーションしても、肝心のマンション本体の寿命がきてしまえば、元も子もなくなります。長く住み続けるためにも、劣化防止の対策をきちんととっているマンションを選ぶことが、何よりも大切です。

ABOUT ME
山田 敏碁
山田 敏碁
マンションリサーチ株式会社 代表取締役
不動産ディベロッパー及びフランチャイズ系不動産仲介会社での勤務経験を経て、2011年4月にマンションリサーチ株式会社を設立。
不動産実務を知る不動産専門ウェブサービス会社として、「より現場に近く、現場の声を知り、不動産業者の言語を知っている」をテーマに、結果の出せるウェブコンサルティングを目指しております。
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